【酒屋が解説】「ひやおろし」ってどんな日本酒?
夏の終わりが近づいてくると、店頭で目にするようになる「ひやおろし」の文字。
秋頃の日本酒のラベルによく書かれていますが、一体どんなお酒なのか・・・
「ひやおろし」の特徴や魅力などを分かりやすく解説していきます!
-- 目次 --
1 | ひやおろしって何?
2 | ひやおろしの魅力とは
3 | ひやおろしの飲み方は?
4 | 最後に
ひやおろしって何?
ズバリ!「ひやおろし」とは、春先に搾ったお酒を秋まで貯蔵してから出荷する日本酒の事。
「ひやおろし」について詳しく解説する前に、少しだけ日本酒の季節感について説明します!
秋から冬にかけて仕込まれたお酒は、冬~春にそのまま出荷されると新酒に。
夏の間熟成させて出荷される日本酒が「ひやおろし」という訳です。
四季に合わせて楽しめるのは日本酒の魅力の一つ。
春の新酒、夏酒などと同じく秋にだけ楽しめる季節限定の日本酒なのです!
・加熱処理の方法にも特徴がある
一般的な日本酒は酒質を安定させるために、貯蔵前に1度目、出荷する前に2度目の火入れと呼ばれる加熱処理を行います。
「ひやおろし」は搾り終えたあと貯蔵前に一度火入れをし、出荷する前の火入れは行いません。
この製法は生詰め酒と呼ばれ、あえて2度目の火入れを行わない事で生の味わいも堪能できるのです!
・「ひやおろし」の由来
江戸時代に誕生した「ひやおろし」は、日本酒を貯蔵している蔵と外気が同じ気温になってから出荷されていました。
出荷の際に日本酒で常温を意味する"ひや"の状態で"おろす(出荷)"ことから「ひやおろし」と呼ばれるようになったと言われています。
"ひや"と名前についているので冷酒で飲むお酒?と思った方もいるかもしれませんが、常温という意味だったんですね!
・秋あがりとの違い
同じく秋の日本酒として目する"秋あがり"とは何が違うのでしょうか?
日本酒の世界ではお燗をつけて旨みが増した際に”燗上がり”といった具合に、味の表現を"上がる"や"下がる"などの言葉で表現する事があります。
実は"秋あがり"は日本酒の種類ではなく、貯蔵・熟成した日本酒が美味しくなった状態を言います。
「ひやおろし」と"秋あがり"はいずれも秋の限定酒を表す点では同じものなのです!
ですがこの2つには酒税法上の厳密な規定もなく、定義も曖昧な事から秋酒といった表現を使うお酒も多くみられます。
ひやおろしの魅力とは
春先に搾った新酒をひと夏の間じっくりと秋まで熟成させた「ひやおろし」。
肝心の味はどうなのでしょうか。
日本酒にはアミノ酸や糖分が多く含まれており、熟成によってこの成分が変化していきます。
新酒の頃に荒々しい味わいだった日本酒も熟成により段々と角がとれていき、まろやかで旨みが増した"味が乗った"奥深い味わいの日本酒になるのです。
・円熟した旨みは秋の味覚との相性が抜群!
まろやかな旨みのある「ひやおろし」は、旨みの多い秋の食材との相性が抜群です。
ジューシーでふっくらとした秋刀魚や戻り鰹、きのこ料理など皆さんが思う秋のお料理と是非合わせてみてください。
「ひやおろし」の飲み方は?
「ひやおろし」という名前から冷やして楽しむ酒とイメージされる方もいるかもしれませんが、先述した通りここでの"ひや"は常温を指します。
もちろん冷酒でスッキリと楽しむのも良いのですが、常温~お燗で楽しめるものが多くあるのも「ひやおろし」の特徴です。
温度を上げる事で「ひやおろし」の魅力である旨みや甘さが増してより一層楽しむ事が出来ます!
最後に
円熟した味わいで、秋の味覚との相性もバッチリ!いつもの食卓をより一層盛り上げてくれる「ひやおろし」。